森林の多面的機能について

森林には豊かで安定した生活を送るために欠かせない8つの「多面的機能」があります。今回は、森林が持つ8つの「多面的機能」についてご紹介します。

1.生物多様性保全

森林では多くの生物がバランスを保ちながら生息しています。木々や植物が提供する生息環境は、昆虫や鳥類、爬虫類、ほ乳類など多様な生物の生存を支えています。森林の保全は、絶滅の危機に瀕した動植物の生息地を守り、生物多様性を豊かにする重要な役割を果たしています。

2.地球環境保全

森林は二酸化炭素の吸収源として知られており、地球温暖化の抑制に貢献しています。また、大気中の有害物質や粒子の吸収・浄化も行います。森林の保全は地球環境全体の持続可能性につながります。

3.土砂災害防止機能/土壌保全機能

森林は地盤の保持や土砂流出の防止に重要な役割を果たします。樹木の根が地面を固定し、土壌を保護することで、土砂災害を防ぎます。さらに、草や落葉などが地表を覆うことで降雨などによる土壌の浸食や流出を抑制しています。森林が豊かな生態系を維持することで、土壌の肥沃性も維持されます。

4.水源涵養機能

森林は雨水を吸収し、地下水を補給する重要な水源です。森林が水を蓄え、ゆっくりと放出することで、河川の水量を安定させる役割を果たします。これにより、乾燥や洪水などの水災害を緩和し、水資源を確保します。

5.快適環境形成機能

森林には、大気浄化、気候緩和、防音防風といった機能があります。樹木が二酸化炭素や大気中の有害物質を吸収し、酸素を放出することで、きれいな空気を生み出します。また、光合成の蒸散作用により夏の暑い気温を下げ、冬の寒い気温を上昇させます。防音・防風効果もあり、快適な環境の創出に役立っています。

6.保健・レクリエーション機能

森林は健康増進やレクリエーションの場としても重要です。森林浴やハイキングなどのアウトドア活動はストレスを軽減し、心身の健康を促進します。樹木から発されるフィトンチッドという揮発性物質には、健康増進効果があると言われています。

7.文化機能

森林は多くの文化や伝統に深く関わっています。古来からの信仰や祭り、伝統的な建築材料の提供など、森林は地域社会や文化に大きな影響を与えています。春の桜、秋の紅葉といった四季の移ろいを楽しむことや、木材の供給による文化財の維持、伝統工芸の継承など、私たちに文化的な豊かさを生み出します。

8.物質生産機能

森林は木材や竹、草木などの物質を生み出します。これらの資源は建築材料や家具などに利用され、人々の生活や産業に欠かせません。また、キノコや山菜、動物などの豊富な食料を産出しています。森林の持続的な管理は、これらの資源の供給を確保し、私たちの生活を支えるとともに地域経済の発展に貢献します。

このように、森林は豊かで安定した生活を送るために必要な8つの多面的機能を持っています。これらの機能を守り、持続可能な林業を進めることで、未来の世代にもこの貴重な財産を引き継いでいきましょう。

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